古文って本当にカオスですよね。まずみんな口をそろえて言うのが、
受験生くん
受験生さん
今日は古文の内容をとれなくて苦しんでいる受験生のみなさんに、古文読解のコツをお伝えします。
古文が読みにくい理由
そもそも古文がなぜ読みにくいのかというと、
- 主語が抜ける
- 抜けたまま変わる
- どうでもいい話が長々続いて、いきなり本題に入る。
- 最後まで読まないと何言ってるか分からない。
などの理由が挙げられます。
内容をマル覚えすれば乗り切れる高校の定期テストと違って、入試の古文は初めて見る文章を読んで設問に答えないといけません。
したがってこの記事では、初見の古文の文章を、正しく理解するための読み方について説明していきます。
特に、主語を正しく補足することが本当に大切です!!!
具体例
ここでひとつ、例文をあげます。
ちなみに横笛は女主人公の名前、滝口は男主人公の名前です。
横笛これを見て、「情なの有様や。昔に変らで、今も契らむといはばこそ。変りし姿ただ一目見せさせ給へ」と、「時雨に濡れぬ松だにも、また色変る事もあり。火の中、水の底までも、変らじとこそ思ひしに、早くも変る心かな。ありし情をかけよといはばこそ、みづからもともに様を変へ、同じ庵室に住まひして、御身は花を摘むならば、みづからは水をむすび、一つ蓮の縁とならばやと思ひ、これまで尋ねて参る。夫妻は二世の契りと聞きしかど、今生の対面さへ叶ふまじきか。浅ましや、親の不孝を蒙りてかやうにならせ給へば、みづからを深く恨みさせ給ふも理なり。思へばまたみづからは、御身ゆゑに深き思ひに沈み、たがひに思ひ深かるべし」と涙を流し申すやう、「さてもいにしへは、雲を動かす雷も思ふ仲をばよも裂けじ、と契りつる言の葉は、今のごとくに忘れず、睦言の袖の移り香は、今も変らず匂へども、いつの間にかは変りはて、うたての滝口や」とて、声も惜しまず泣きければ、滝口これを見て、「あまり嘆くも痛はし。せめては声なりとも聞かせばや」と思ひてかくなむ。 梓弓剃るを恨みと思ふなよまことの道に入るぞうれしき 『横笛草子』より
お疲れ様です。はぁ。古文って本当に読む気を失せさせるよね。
そんな古文を見て、みんながよくやってしまうのは、こんな読み方(青字がみんなの心の声です)。
横笛これを見て、「情なの有様や。昔に変らで、今も契らむといはばこそ(え、「いはばこそ」って何)。変りし姿ただ一目見せさせ給へ」と、「時雨に濡れぬ松だにも、また色変る事もあり(意味わからん)。火の中、水の底までも、変らじとこそ思ひしに、早くも変る心かな。ありし情をかけよといはばこそ(意味わからん)、みづからもともに様を変へ、同じ庵室に住まひして、御身は花を摘むならば、みづからは水をむすび、・・・・・・(何言ってるか話全然分からんくなってきたー。以下パニック)
古文はもっと雑によめ
私がまずみんなの質問を聞いていて思うのが、みんな丁寧に読みすぎているということ。そんな読み方していたらセンター試験では絶対ぜったい時間が足りません。
あえて語弊のある言い方をするけど、みんな古文をもっと雑に読んでください。
古文は読まなくてもいい部分が多いので、メリハリをつけて必要な情報だけピックアップすることが大切なんです。
じゃあそれどうやってやるの?という話ですよね。以下具体的に説明します。
古文読解の5つのコツ
ここで、古文読解のコツをお伝えします。
- あまり細かく区切りすぎない
- カギカッコを1つのカタマリとしてとらえる
- 分からないところで止まらない、戻らない、無理に推測しない
- 古文は後ろに書いてある内容を見ないと意味が取れない(場合がとても多い)
- 動詞に注目する
以下、具体的に見て行きましょう。
①細かく区切りすぎないこと
古文を読む上でやってしまいがちなのが、「、」で区切って、そこでいちいち意味をとってから先に進むという読み方。
古文は必ず一文単位で意味をとらえてください。
もちろん一文がめちゃくちゃ長い場合もあるから、その場合は途中で切った方がいいけどね。
とにかく、あまり短く区切って読むと、意味を取り違えてしまうよ。
②カギカッコは1つのかたまりと考える
カギカッコがどれだけ長くなっても、結局言いたいことは1つだけ。
例えば、上の例文だと、結局は横笛のセリフがずっと続いているんです。
そしてその内容もひたすら滝口に、「私を捨てて出家しちゃうなんて!!!」って文句言ってる。めちゃくちゃ喋ってる割には言っていることはそんなに内容にバリエーションはないんですよね。
カギカッコが長くなると、それを全部訳そうとして結局何言いたいか分からん…ってなってしまう。カギカッコの中身は全部訳そうとしなくてOK。
基本的に1つのカギカッコで言いたいことは1つだけです。
③分からないところで立ち止まらない
ここ、めっちゃ重要です。読んでて分からないところが出てきたら、止まる、戻る、推測する。
だいたいみんなこのどれかをやっちゃうんだけど、そうすると古文って本当に読めなくなります。止まっても戻っても分からないから推測するんだと思うんだけど、その推測が間違っていたら?
間違った推測の元に続きを読んで行ったらどんどん内容はズレてしまうよね?
じゃあ、一体どうすれべよいのか?
④続きを読む
古文は後ろを見てからじゃないと意味をとれないことが多いんです。
だから分からないと思ったら後ろを見る、続きを読む。これがめっちゃ重要。
ここでもう一度例文を見てください。赤字の部分に注目です。
横笛これを見て、「情なの有様や。昔に変らで、今も契らむといはばこそ。変りし姿ただ一目見せさせ給へ」と、「時雨に濡れぬ松だにも、また色変る事もあり。火の中、水の底までも、変らじとこそ思ひしに、早くも変る心かな。ありし情をかけよといはばこそ、みづからもともに様を変へ、同じ庵室に住まひして、御身は花を摘むならば、みづからは水をむすび、一つ蓮の縁とならばやと思ひ、これまで尋ねて参る。夫妻は二世の契りと聞きしかど、今生の対面さへ叶ふまじきか。浅ましや、親の不孝を蒙りてかやうにならせ給へば、みづからを深く恨みさせ給ふも理なり。思へばまたみづからは、御身ゆゑに深き思ひに沈み、たがひに思ひ深かるべし」と涙を流し申すやう、「さてもいにしへは、雲を動かす雷も思ふ仲をばよも裂けじ、と契りつる言の葉は、今のごとくに忘れず、睦言の袖の移り香は、今も変らず匂へども、いつの間にかは変りはて、うたての滝口や」とて、声も惜しまず泣きければ、滝口これを見て、「あまり嘆くも痛はし。せめては声なりとも聞かせばや」と思ひてかくなむ。
こんな風に、カギカッコの後を見てくれたら、横笛が泣いているってことが分かるよね。
つまり、カギカッコの中身は横笛の悲しい心情である、っていうことが、後ろから見たら分かるんです。
自分が分からないなって思って立ち止まっている所の後ろを見ることで意味が把握できる。これは非常に有効な古文読解のコツです。しっかり肝に銘じておいてください!
⑤動詞に注目する
最後のポイントです。そろそろお気づきかと思いますが、古文を読む上では主語の補足が何よりも大事なんです。そして、主語を補足するためには動詞に注目する必要がある。
日本語の場合、動詞は文の最後に来ます。だから、④でも説明したように、後ろを見る必要があるんですね。
くり返しますが、分からないところで立ち止まって無理やり推測して訳そうとする前に、後ろをみて動詞を探すクセをつけるようにしてください。
最後にもう一度次の例文を見てみましょう。内容をつかむ上で重要な赤字の部分を見てみて。すべて動詞でしょ?
横笛これを見て、「情なの有様や。昔に変らで、今も契らむといはばこそ。変りし姿ただ一目見せさせ給へ」と、「時雨に濡れぬ松だにも、また色変る事もあり。火の中、水の底までも、変らじとこそ思ひしに、早くも変る心かな。ありし情をかけよといはばこそ、みづからもともに様を変へ、同じ庵室に住まひして、御身は花を摘むならば、みづからは水をむすび、一つ蓮の縁とならばやと思ひ、これまで尋ねて参る。夫妻は二世の契りと聞きしかど、今生の対面さへ叶ふまじきか。浅ましや、親の不孝を蒙りてかやうにならせ給へば、みづからを深く恨みさせ給ふも理なり。思へばまたみづからは、御身ゆゑに深き思ひに沈み、たがひに思ひ深かるべし」と涙を流し申すやう、「さてもいにしへは、雲を動かす雷も思ふ仲をばよも裂けじ、と契りつる言の葉は、今のごとくに忘れず、睦言の袖の移り香は、今も変らず匂へども、いつの間にかは変りはて、うたての滝口や」とて、声も惜しまず泣きければ、滝口これを見て、「あまり嘆くも痛はし。せめては声なりとも聞かせばや」と思ひてかくなむ。
この話って、要は、横笛がひたすら滝口に恨み言を言いながら泣いて、それを見た滝口が「あんまり泣いてるのもかわいそうやし、せめて声だけでも聴かせてあげたい」って思って和歌を詠んだ。
めっちゃ長い文章やけど、要約するとたったこれだけ。
以上、古文の内容を理解するための読解のコツ5点でした。
あとはこの法則を色んな文章にあてはめて慣れていくだけ。それにはある程度慣れが必要なので、授業でこの読解のコツはしっかり練習していきましょう。