医学部を目指す受験生にとって、小論文はそんなに時間はかけられないけど、完全に無視することもできない頭の痛い存在…。
この記事では、医学部を目指すあなたのために、コストパフォーマンスよく小論文を勉強する方法をお伝えして行きます。
最も重要なのは段落構成。では1つずつ説明していくね。
段落分けはマスト!
基本は3段落構成
まずここからなんですが、そもそも段落分けをせずに小論文を書く人が結構いるんですよ。小論文を書く上で絶対に意識してほしいのは段落構成。
各大学が課す制限字数にも寄りますが、600字くらいまでであれば、原則的に小論文の段落構成は3段落です。そして次の2点に注意★
気を付けること
- 段落の初めは1文字空ける
- 1つの段落を1文で終わらせない!
段落と言うのは文のカタマリなので、1つの段落には必ず2文以上書くようにしてね。
第2段落から考えろ
小論文を書く上で決め手になるのは、ズバリ第2段落。
たいていの受験生が、第1段落を書いた後どう続けていいか分からなくなっちゃうんよね。いいですか、小論文はまず第2段落から考える。これが鉄則です。
各段落の内容
小論文は第2段落から考えろ!と先ほど言ったので、まず最初に第2段落にどんなことを書けばいいか説明します。
第2段落は具体例を書く
受験生さん
それは具体例です。
第2段落は、すべての段落で最も長く書く必要があるねん。そして、具体例は小論文の説得力を高める上で非常に重要な役割を果たします。
さて、ここで例題を見てみましょう。
これからの医療のあり方についてあなたの意見を述べなさい。
どうでしょうか、一言も何にも思いつかないって人はいないと思うけど、テーマが抽象的過ぎていったい何を書いてよいのやらって感じだよね。
私立の医学部なんかでは非常によくあるタイプの問題です。
まず私が作った解答例を紹介するよ。字数制限は600字以内という想定です。
【第1段落】
これからの医療のあり方を考えるにあたり、私は患者主体の医療を実現することが重要だと考える。患者の疾患を治療し、身体機能を回復させるだけでなく、患者が望む生活をおくることができるよう、医療従事者はサポートしていかなければならない。
【第2段落】
例えばがん治療の場合、がんが発生した部位や進行の度合い、また転移の有無によって治療方法は大きく異なるが、がんと診断された患者はみな突然の告知に混乱するに違いない。どのような治療方法を選択するべきかどうかは主治医とよく相談して決めていくべきだが、精神的なケアは不可欠だ。マギーズ東京というがん患者のサポート団体がある。そこではがん患者に、看護師や心理士が気持ちの整理の仕方や社会的支援についての情報提供を行っている。またマギーズ東京ではがん患者の家族も相談に訪れることも可能だ。このようにがん患者やその家族の精神面や生活のサポートを行う機関があることで、患者の生活の質は大きく向上するだろう。
【第3段落】
かつては医師が自分の最善だと思う治療法を提案し、患者がそれに従うという医師主体の医療であった。しかしこれからは患者の意思を尊重した患者主体の医療を実現させていかなければならない。そのためには医師だけでなく、各専門の医療従事者が連携し、患者の生活の質を下げないための具体的な支援を行うことが求められる。
私は「医療のあり方」という漠然とした質問に、「がん」という特定の病気になったシチュエーションを当てはめて第2段落の内容を考えてみました。
ちなみに「マギーズ東京」の理解を深めてもらうために、
がん治療についてあなたの意見を述べなさい。
という題材でもう一つ解答例を用意しました。ぜひ参考にしてみてください!
がん治療において、私は患者主体の医療を実現することが何より重要だと考える。患者のがんを取り除き、完治させるだけでなく、患者が望む生活をおくることができるよう、医療従事者はサポートしていかなければならない。
【第2段落】-本論
がん治療の場合、がんが発生した部位や進行の度合い、また転移の有無によって治療方法は大きく異なるが、がんと診断された患者はみな突然の告知に混乱するに違いない。どのような治療方法を選択するべきかどうかは主治医とよく相談して決めていくべきだが、精神的なケアも不可欠だ。マギーズ東京というがん患者のサポート団体がある。そこではがん患者に、看護師や心理士が気持ちの整理の仕方や社会的支援についての情報提供を行っている。またマギーズ東京ではがん患者の家族も相談に訪れることができる。このようにがん患者やその家族の精神面や生活のサポートを行う機関があることで、患者の生活の質は大きく向上するだろう。
【第3段落】-結論
かつては医師が自分の最善だと思う治療法を提案し、患者がそれに従うという医師主体の医療であった。しかし、がんの治療法が多様化した今、患者の意思も最大限に尊重していかなければならない。そのためには医師だけでなく、各専門の医療従事者が連携し、患者の生活の質を下げないための医療の提案が不可欠である。
具体例の見つけ方
まず、「医療のあり方」と問われて、
- 患者さんにとってベストな医療を行うべきだ
- 患者さんの意思を尊重すべきだ
っていうような漠然としたことは何かしらみんなも思いつくんじゃないかな?
ふわっとでも何か思いついたら、それってどんなシチュエーションで重要になるんやろう?って考えてみてほしいねん。
私が今回、がんという具体例を選択したのは、この多くの人が罹患する病気だし、絶対に知らない人はいないと思ったから。深い専門的な知識がなくても、全く想像できない病気だっていうことはないと思う。
具体例は、小論文に説得力を持たせるためのもの。したがって極力みんなが分かる話の方がいいねん。
もちろん何でもいい。そうやなぁ、この場合やったら「認知症」とかでもいいかも。
小論文に奇抜な発想は一切いりません。
第1段落は設問の答えを書く
こんな風に、先に第2段落に書くことを決めてから第1段落に着手します。
私は、「がんになったとしても、治療以外の生活がある。治るか治らないかという治療の部分以外にも大変なところがあるんじゃないか」と、そんな風に考えたので、第2段落を治療以外のサポートに重点を置いた内容にしてみました。
第1段落には二つの役割があるよ。
- 設問に対して簡潔に答える
- 第2段落に導入する
今回の設問は「これからの医療のあり方」。
第2段落の内容を考慮した上でこの質問に答えると、「医学的な治療だけじゃ足りないよ」っていうことを書くのがベストです。そうすれば、この2つの役割を果たすことができるよね。
特に大切なのは、1つ目の「設問に対して答える」という点。最初に設問全体の答えを示しておくことで、後半に時間が足りなくて、完璧な答案を書くことができなくても、自分の考えを伝えることはできるから。
日本人は、前置きであれこれ説明して、最後にまとめようとする傾向にありますが、小論文ではこれは得策ではありません。
最初に全部答えてしまう、これが鉄則です。
第3段落は今後の展望を書く
私のクラスでも、けっこう第1段落や第2段落は経験値を積み重ねるとみんな書けるようになって行く。
受験生くん
ところが第3段落は、なかなか最後まで何を書いたらいいか分からずに苦戦する子が多いんよね。
よく言われるのが、第3段落は「まとめ」の段落であると。もちろんそれは確かにそうなんだけど、それだと結局、第1段落・第2段落の内容とかぶってしまうんよね…。
なので第3段落には、今後の展望、つまり「これからどうするべきか」、「どうなっていくのが望ましいか」を盛り込むのがよいと私は考えます。それを書くと、自然に「そのためには何をすべきか」にも言及できて、非常に建設的な内容で締めくくれるよ。
以下がさっき、私の解答例で紹介した第3段落の内容。
かつては医師が自分の最善だと思う治療法を提案し、患者がそれに従うという医師主体の医療であった。しかしこれからは患者の意思を尊重した患者主体の医療を実現させていかなければならない。そのためには医師だけでなく、各専門の医療従事者が連携し、患者の生活の質を下げないための具体的な支援を行うことが求められる。
気を付けてほしいのは、第1段落や第2段落に言及されていない、全く新しいことを書いたらダメだということ。第3段落は、第1段落・第2段落とかぶらないように、かつ関連のある内容でなければならないのです。
まとめと各段落の分量(文字数)
まとめ
- 段落分けが必要(600字くらいまでの字数だと3段落構成でOK)
- 段落の最初は1マス空ける
- 段落は2文以上必要(1文で段落を終わらせない)
- 第1段落は簡潔に、設問の答えを書く
- 第2段落を最も長く、具体的を書く
- 第3段落は今後の展望を書く(第1段落や第2段落の内容から離れたことを書いてはだめ)
そして各段落の文字数は、第2段落が最も長くなるように。第1段落と第3段落は同じくらいの分量でかまいませんし、どちらかが多少長くてもOK。
とにかく第2段落が一番長くなるようにしてくださいね☆