「先生、おれ国語、日本史より悪かった」
この報告を聞いた時、一瞬何を言っているのか意味が分かりませんでした。
今日の卒業生インタビューはセンターの国語が200点92点でありながら、現役で医学部合格を果たした子の話。
センターの国語で何が起こったのか、そしてセンター後合格までの道のりについて詳しく聞いてみたよ。
センター当日から出願校決定まで
国語の失点の原因
まず真っ先に聞かなければならないのは、200点中92点というその成績の理由。なんでそんな点数になってしまったの?
稲垣くん
その後に解いた小説も35分くらいかけてしまったんですよ。
うえの
稲垣くん
センターの国語で大きくやらかしてしまう原因のダントツ第1位は、時間配分の失敗。
特に一番最初に解く問題で大幅に時間オーバーしちゃうと、後に絶対に影響してしまうんです。
これだけははっきり言っておきたいんやけど、稲垣くんは国語、めちゃくちゃ勉強してました。
私は高2の3学期から稲垣くんのことを教えていたんやけど、国語に対しては苦手な教科だからということで、よく相談にも来てたし、早い時期からしっかり対策してた。
稲垣くん
うえの
今回稲垣くんは、自分の経験が後輩のみんなに活かされればという思いで、快く私のインタビューを受けてくれたました。
だから、あえて私は言います。
どんなに勉強しても、それを発揮するためには時間配分を間違えては絶対にダメってこと!
稲垣くん
センター試験1日目終了後
ご存知のようにセンター試験は2日間行われ、国語は1日目です。
うえの
稲垣くん
そこで結果に動揺してしまって、2日目に力を出し切れなかった子を私はたくさん知っています。
うえの
稲垣くん
私な、稲垣くんのこういうところがすごいと思うねん。普通はネットで答え調べてしまったり、何も手がつかなくなってしまうものやん?
センターの1日目が終わった後、半泣きになりながら、次の日の勉強を自習室が閉まるまでやって、家に帰ってもまだ勉強した稲垣くん。
稲垣くん
2日目、センターの会場で席が近かった友達が僕を見て、絶対声かけられへん雰囲気やったって後から言われました。
うえの
稲垣くん
他人の答案ちゃうかな、みたいな。あまりにもバツが多すぎて。
笑ってはいけないけど、ちょっと笑ってしまった。なるほど、そんな風に思うねんな。
出願校の決定
国公立医学部は本当にハイレベルな競争なので、センター試験の得点率をふまえて慎重に出願校を決定しなければなりません。
センター試験で大きくビハインドをとった稲垣くん。どんな風に出願校を決めたのでしょうか?
稲垣くん
僕としては地方への出願も覚悟してたんですけど、中ちゃんが「お前は関西出なくていい」って言ってくれて。
稲垣くん
うえの
稲垣くん
うえの
稲垣くん
- 英語150点
- 数学100点
- 理科(2科目)150点
- 国語100点
- 社会100点
このように和医大は国語の配点が2分の1に圧縮されるので、国語で失点してしまった稲垣くんには有利なんです。
うえの
傾斜配点って何?って人はコチラの記事を読んでください。
出願後から2次試験まで
足切りの恐怖
センター試験の結果、大幅なビハインドを背負った稲垣くん。
稲垣くん
うえの
稲垣くん
足切りのラインの少しだけ上でした。
本当にこの足切りという制度は受験生にとって酷な制度やねん。
センターを受ける前は、ほとんどの受験生が自分が足切りの心配するなんてことは考えないもんね。
現行の入試制度では本当にセンターが何よりも重要なんだということを改めて痛感します。
二次試験までの過ごし方
センター試験が終わってからの1か月、稲垣くんはどんな風に過ごしたのでしょうか?
稲垣くん
稲垣くん
うえの
稲垣くん
超難関大学に合格した子ほど、反復演習を大切にしています。それは直前期でも同様です。
うえの
稲垣くん
実は英語は稲垣くんにとって国語と並ぶ苦手科目だったんです。
中学時代から英語に苦手意識を感じていた稲垣くん。
高2の3学期にこのままではヤバイと思って、本腰を入れ始めた英語。高3になってからは講師室で保木本先生に質問している姿を本当によく見かけました。
やっぱり直前期に取り組んだのも、信頼していた保木本先生の授業のプリントやったんやね。
保木本先生
うえの
保木本先生
うえの
保木本先生
そう、稲垣くんは確かに国語に関しても、漠然と「分かりませーん」みたいな質問は一切なかった。
必ず、「自分はこう考えてこの選択肢とこの選択肢は切れたけど、この選択肢が何で間違ってるのか分からない」みたいな感じで、常に具体的に質問に来てくれました。
保木本先生
自分の分からないところにしっかり向き合える生徒は、必ず成績が伸びるんです!
二次試験の手ごたえ
うえの
稲垣くん
実は和医大の入試は前年まで選択肢式だったのが、稲垣くんが受けた年にすべて記述式に変わっていたんだって。
うえの
稲垣くん
むしろ普段ほっきーの授業で練習してた形と一緒やって思って、よっしゃ!って感じでした。
英語の試験が始まって、1分くらいじっと問題を眺めていた稲垣くん。完全に頭の中で、保木本先生が自分の側についてくれている感覚になったのだそう。
本当に授業の内容を完全に消化した子にしか起こりえないことだよね。
保木本先生
稲垣の場合は、本当に信頼してついて来てくれて、全てを学び切ってくれたからこそ、傾向変化に対応できたんだと思います。
医学部受験生と国語
稲垣くんに、センター国語で自分の力を出し切るためのアドバイスがないか聞いてみました。
稲垣くん
センター本番ってありえへんくらい緊張するんですよ。
普段よりも慎重になってしまって、読むのも解くのも時間がかかってしまうということは絶対想定しておいたほうがいいと思います。
国語は特に時間がないって焦ってくると本当に内容が頭に入らなくなるからね。
これは私からの付け足しアドバイスなんだけど、一番最初に解く問題で時間をオーバーしないこと!
これが一番大切です。
稲垣くん
稲垣くんの合格を考える
私は稲垣くんの合格には3つの要因があったと考えます。
その1 超絶努力家
国語に関してもそうだけど、稲垣くんは本当によく勉強しました。その勉強量はずば抜けていたように思います。
それは得意科目である数学や理科でもそう。今回のインタビューで数学の勉強の話になった時も、
稲垣くん
サラッとそんなことを言うねん。
この話を一緒に聞いていた数学の畑中先生が、「俺でもそんなやってない」って言ってた。
稲垣くん
この話を聞いた時は、畑中先生と2人で爆笑したわ。
青チャートをマンガ読むペースでってすごくない?
数学が得意って聞くと、あたかも持って生まれた才能だって決めつけてしまうよね。
でも稲垣くんの話を聞いて、そうじゃないんやなって思った。もちろん優れた素質は持ってるねん、それは間違いなく。
ただその素質を花開かせるだけの努力は絶対にやってるんよね。
その2 鋼の意思
稲垣くんがすごいなって思うのは、絶対に現役で国公立医学部に合格するって決めて行動したこと。
うえの
稲垣くん
なんと和医大の受験票が来たから、関西医大の前期試験を受けなかったのだそう。
稲垣くん
それはそうやねんけど、普通はできることじゃないやん?
ましてやセンターの結果が思わしくなかったのなら、確実に私立は押さえておきたいと思うもの。
自分は絶対に現役で国公立の医学部に行く。
その意思の強さが稲垣くんの合格の背景にあったことは間違いないと思います。
その3 圧倒的な二次力
センター試験が終わった段階では、常識的に考えて稲垣くんの現役合格は絶望的でした。
例えばセンターリサーチの結果。
うえの
稲垣くん
さすがに地方の医学部に出願しようと考えていた稲垣くんに、数学科の中谷先生が関西圏に出して大丈夫だと言ったのは先述した通り。
中谷先生は受験のプロ。私よりはるかにキャリアがある先生です。
その中谷先生が逆転は不可能ではないと判断したってことは、稲垣くんにそれだけの二次力があったということ。
英語・数学・理科の力が十分にあったからこそ、センター試験のビハインドをひっくり返すことができたんだと思います。
最後に
稲垣くんの合格を聞いた時、私はハワイにいました。
高進の先生たちと旅行に行ってたんだけど、合格の知らせを聞いてみんなで歓声をあげて大喜びしたのが昨日のことのように思い出されます。
- センター国語 92点
- センターリサーチ マイナス60点
ここから現役で国公立医学部に合格した。そう聞くと人は奇跡というかもしれません。
でも、この記事を最後まで読んでくれたあなたなら分かると思います。
稲垣くんの合格は奇跡ではなく、100%努力と実力でつかみ取った合格だということが。
私がこの記事を通してみんなに伝えたかったのは、センターで失点しても合格できるよ、なんていう安易な内容ではありません。
むしろ国公立医学部に行きたいならまずはセンター試験が何より重要だということなんです。
「自分はそこまで二次力に自信がないよ」
そう思うのなら、ひたすらセンターで高得点をとれるような勉強をしなければなりません。
ただ、万が一センター試験で思ったような結果が出なかったとしても、そこで諦めたりはしないでほしい。
確かに稲垣くんは理数科目はずば抜けてよくできました。
でも、もし稲垣くんが自分の理数科目の力だけに頼って、英語という苦手科目の克服をして来ていなかったらどうなってたやろう?
私は合格という結果には繋がってなかったと思うねん。
稲垣くんが自分の苦手に向き合って積み重ねてきた努力。その努力がたぐりよせた必然の合格だったと私は思っています。
保木本先生
私も全く同感です。
センター試験まであとわずか。みんなの不安は尽きないと思いますが、今まで受験のためにしてきた努力が無駄になるってことは絶対にありません。
それだけは間違いないので、安心して思いっきりラストスパートかけて勉強してください。
確かに想定外のことは起こるかもしれない。
けれど、最後まで諦めない姿勢が必ずみんなに合格通知をもたらしてくれると私は信じています。
みんながんばれ!!